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イノベーションを起こすための「デザイン思考」とは?【ビジネススキル】

デザイン思考

近年、ビジネスの現場や研修会などで「デザイン思考」という言葉をよく耳にする機会が増えました。今回は「デザイン思考」とはどのようなものかご紹介します。

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デザイン思考とは?

デザイン思考とは文字通り、デザイナー的に考えることであり、「ユーザ自身も気づいていない本質的なニーズからイノベーションを起こす思考、プロセス」のことです。
試作品(プロトタイプ)で素早くアイデアを具体化して、試作段階でアイデアに対するフィードバックを受けることが肝となります。

イノベーションとは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと

デザイン思考の起源は?

源流からたどると、科学者のハーバート・サイモンの著書『システムの科学(The Sciences of the Artificial)』(1969年)で考え方の一つの手段として提唱したことに始まります。建築家ピーター・ロウの著書『デザインの思考過程(Design Thinking)』(1987年)において「デザイン思考」という言葉が用いられた初期の顕著な文献です。

つまり、最近になって生まれた概念ではなく、1900年代後半にすでに「デザイン思考」という言葉は生まれていました。この時点ではデザイナーが使用する言葉でした。

なぜ今求められているのか?

デザイナーの考え方であるデザイン思考がビジネスで注目されるようになったのは、ビジネスのあり方が変わってきたことが一番の理由です。モノを作れば売れた、モノが不足していた時代から、現代ではモノがあふれ、ユーザがマーケットの主導権を握る時代になりました。

そのためユーザが何を望んでいるか、望んでいることの本質は何か、をユーザ視点で考えスピード感のある商品・サービス提供が求められいます。その際に「デザイン思考」が必要になってくると言われています。

このようなマーケットの変革から、行政機関におけるサービス改善のため、経済産業省と特許庁も2018年5月に「デザイン経営」を宣言しました。

「デザイン経営」とは、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。その本質は、人(ユーザー)を中心に考えることで、根本的な課題を発見し、これまでの発想にとらわれない、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出すことです。
経済産業省・特許庁は2018年5月に報告書『「デザイン経営」宣言』を取りまとめ、ユーザーの視点で行政サービスを改善する取り組みが進んでいます。

デザイン思考の5つのプロセス

デザイン思考は「共感、定義、発想、試作、試行」の5つのプロセスからなります。それぞれのプロセスについてご説明します。

(01).共感(Empathize)

まずはユーザの状況を理解するため、現場の動きを詳細に観察する「フィールド観察」を行ったり、「インタビュー」を実施したりすることが起点になります。

ユーザーが何を求め考えているか観察・共感し(なりきり)、ニーズを探り、なぜそのサービスが欲しいのか、サービスを手に入れた先に何を求めているのかを想像します。このとき、ユーザはどんな感情を抱いているのか徹底的になりきって考えることが大切です。

(02).定義(Define)

集めた情報(ユーザの声)を基にユーザーの真のニーズを洗い出し、議論して多くの意見を出し、その後は意見を収束させて、課題を浮き彫りにしていきます。その課題を解決するためのイノベーションを起こせるコンセプト・テーマを定義します。

多くの場合、ユーザーは自分が求めているニーズの本質を理解していないことが多いです。例えば、車がなかった時代に「もっと早く移動したい」という顕在的なニーズがあったとします。その声を聴いて「馬車を早く」改造するのではなく、「自動車という新しい乗り物がほしい」という潜在的なニーズを解決することがイノベーションを起こします。
定義は、これからの概念化の下地となるので、慎重に決める必要があります。

(03).発想(概念化、Ideate)

定義された問題に対し自由に意見を交換して、具体的にどうコンセプトに基づいてアイデアを具体化するかを検討します。ブレインストーミング、オズボーンのチェックリスト、アナロジー発想法などの手法を使って概念化するのが一般的です。ここでは質よりも量を出すことが重要で、思いつく限り、次々とアイデアを出しましょう。その後、分類して収束させ、形にしていきます。

(04).試作(Prototype)

アイデアを端的に伝える試作品(プロトタイプ)を作成し、機能性・効果・実現性について検討します。
動かすことが第一に考え、時間とコストをかけずに、概念化したものが動くように試作品を作ります。プロトタイプは売り上げを出すのではなく、今まで見えなかった課題点を浮き彫りにすることがゴールです。

(05).試行(テスト、Test)

プロトタイピングしたものを、ユーザーに実際に使ってみてもらい検証し、ユーザーのレビューやフィードバックをもらいます。そのフィードバックを基に、どのように改良するか(もう1度発想からやり直す、もう1度共感からやり直す、など)を議論します。
本質を捉えてユーザーのニーズを落とし込めているか、改善点を探って最終的な解決策(イノベーション)を目指します。

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まとめ

デザイン思考は最近になって出てきた新しい手法というわけではなく、歴史のあるアプローチ方法です。「アイデアを提案する」「多様な意見を受け入れる」などのスキルが身に付きます。

デザイン思考では、仮説を立てて即座に試作品(プロトタイプ)を作成し、高速でプロセスサイクルを回していくことが求められます。
個人的な見解ですが、日本企業においてイノベーションが生まれにくい理由はこの部分だと感じています。大企業であればあるほど、プロトタイプを作る前の段階で「そんなもの売れるわけがない」「採算が合うのか」などとアイデアが却下される例を自身でも何度も見てきました。

実際に取り入れることはなかなか難しいですが、ぜひご自身のビジネスに取り入れてみてはいかがでしょうか。




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